コロナ後の経済再生

 

 
コロナウイルスベトナムの仕事に隙間ができたのをチャンスに
いきなり帰国しました。
自主かくり後、体調がくずれ4つも病院通いで、今では「痛い」「寝れない」で、名越さんのつらさがやっと理解できました。
ハードなベトナム4年間で溜まった過労です。
とくに、脱落した前歯は100円ショップで購入した瞬間接着剤で何度も応急修理していましたが、毎日脱落しはじめ、先生稼業が困難になった。
 
コロナの影響で、楽しみにしていた皆さんとの会合ができずにがっかりです。
 
いま、大変関心のあることは、見え始めたコロナ後の世界と日本の変化です。いよいよ具体的に見えてきたような気がします。
 
(以下、長文ですから、とばしてもけっこうです
 
特に、昨日と本日の日経紙の記事は興味深いものがあります。
日本の経済の回復力についてです。
・今年の日本の経済成長は群をぬいて低迷(IMFの世界成長予測)。
財政赤字も主要国で最悪と言うものです。
・それと、バイデン新大統領の政策は基本はトランプ政策と変わらないということです。
これは、遠くクリントン大統領時代から、一貫して内向きの保護主義「バイ・アメリカン」路線のままだということです。
 
特に興味を持っているのは、自動車産業の激変です。自動車が好きだからです。
ベトナム国産車メーカーがEV車をヨーロッパ向け輸出」の記事があります。ダナンで見るベトナム車はBMWタッチの洗練されたスタイルですよ。
EVに切り替わるのは、いまさら日本にとっては簡単なことではないようです。
自動車の構造は100年以上蒸気機関車と同じ基本構造でした。
 
レシプロエンジンと言います。
つまり、シリンダー内で気圧をかけシリンダーの上下運動・ギヤで回転運動に変え、変速機で回転率を変え、シャフトで後輪軸に伝え、デファレンシャルギアで直角の回転に変え車輪をまわす。制動は車輪を摩擦で止める。
これらがEV車ではほとんど無用になってしまいます。
たとえば三菱製のEV車は、車輪自体に個別のモーターを仕組み、これで間に合ってしまいます。扇風機と同じです。
自動車は30,000点以上の部品で構成され、多くの部品メーカーがピラミッド状の一大産業構造をなし、日本の経済の柱になってきました。
 
すなわち、EV車となれば、部品が半分以下になってしまいます。
多くの部品メーカーが無用という場面が想定されます。
 
今から10年前くらい前、東京モーターショウでテスラのEV車に試乗して大変驚きました。加速も乗り心地も上々でしたが、車内の広さにびっくりしました。ハンドルとブレーキペタルだけで、電池は床の下。上に乗っける車体のデザインは、機器に邪魔されなく自由にできます。もっと驚いたのは「車検整備はどうですか」と聞いたら「基本的に故障が考えられないから不要になるでしょう」と言われました。
さらに驚いたのは、電池メーカーパナソニックが国内の販売社だったことです。
 
やはり、約10年前、北京や上海で多くの車がEVだったことに衝撃をうけました。充電スタンドにはわが目を疑いました。バスが所定の位置に停車するだけですぐに自動で充電されます。コードを使わないで、空中電送です。
 
日本が追いつくのには大規模なインフラも整備しなくてはならないのです。何十万か所の充電拠点。街中の送電線や変圧器も耐えられるように総とっかえです。
 
今日の記事では、いすゞやホンダが基幹部品のエンジンの生産から手を抜くために、アメリカのメーカー製を使うことにしたり、共有したりすることにしたそうです。EV化へ投資を変更するにはそうしないと間に合わないからだそうです。間に合わなければ楽天ソフトバンクなど異業種がEVで伝統的メーカーを出し抜く時代になりそうです。
 
先日、お台場の自動車部品メーカー200社以上参加のEXPOに行ってみました。
その多くは、自動車メーカーの下請け企業でしたが、彼らはEV時代に対応して、こごの技術で主体性をもとうとしています。中国企業とのジョイントに向かっています。
 
もう一つの興味深い記事は、資生堂が主力事業の生活衛生製品部門を捨てて、高級化粧品などに経営を絞り込むというもの。
私は、正直、がっかりしてまた納得しました。
数年前、中国の反日暴動で日本企業が撤収するなかで、資生堂は踏みとどまり、むしろ積極的に地方に進出していきました。中国の田舎の、化粧もしたこともない女性たちにゼロから化粧を教え、息長く大きなマーケットを育てるという戦略でした。さすが世界のブランド大きな会社だな~、と思っていたからです。
資生堂程の企業が、黒字をたたき出している最大規模の事業を切り捨てて、投資を集中しなくてはいけないほどの危機感に感嘆しました。
 
 
21世紀の始まりの元旦、日経紙の記事をよく覚えています。
「日本にとって輝かしい絶好のときがはじまる。近隣に巨大な中国マーケットが広がる。その成長で政治的にも経済的にも日本は主体的な立場になる。遠くヨーロッパ諸国より地政学的にも歴史的にもはるかに有利だ」と。
ところがふたを開ければ、このとおり。
そして
巨額赤字で、おおざっぱに言えば毎年の国家予算の半額は返済に費やされ、ほぼ借金なしのドイツと大差がついた。
日本は見た目より半分の国力、高齢者が多いので実労働人口ベトナム以下。
財政健全化のまえに、かさねて巨大地震が来たら、もうゼニはないぞピンチだぞという記事もあった。
 
今日の記事で、ドイツ海軍の艦船が日本にくることになった。対中国へのけん制だ。
しかし、現実、ドイツ・中国はほぼ蜜月の関係発展を着々としている。
メルケル首相はもう十数回北京に訪問して企業を売り込んでいますね。
 
私は上海のホテルの窓から、行きかう車のメーカーを数えたことがる。ドイツ車が20%以上、日本車とどっこい。
「ドイツ人営業マンはどうやって中国語を習得しているんだ」と、中国人に聴いたら、「彼らは 可 という文字を
JとOを組み合わせるようにして覚えるんだと言ったのでその工夫と努力に驚いた。
 
私はつい数か月前までコロナ遅るるに足らずと思っていました。
食べたい・遊びたいなどの需要がなくなったのではなく、「溜まって」いるだけで、コロナ後は
いつもの需要と供給がもどってくるんだろう、今は我慢で心配することはない。と。
でも、今はそう思わない。
 
  コロナのおかげで、この国の限界もよくわかりました。いいも、わるいもありません。
アメリカのコロナの犠牲者は太平洋戦争の死者の3倍近くになり、日本では交通事故死者を1000人も上回ろうとしています。
しょうがないな、この国らしいやりかたをやってるんだなと。 
 
かって大赤字の東ドイツを統合してインフラを整備したときにゼニを使えた。
財政健全が必要なこととはこういうことだと彼らは言う。
 
日本は見た目より半分の国力、高齢者が多いので実労働人口ベトナム以下。しかもよいごしのゼニもない。
財政健全化のまえに、かさねて巨大地震が来たら、ピンチだぞという記事もあった。
最近聞くところでは、あれほど必要な外国人の介護留学の奨学金制度が資金難になって各界が慌てている。
各県、国の資金が底をついてきたんだそうで。
 
ただし、さすがに企業は情勢を知っている。活路を求めて動き出す。生き残ろうと真剣な彼らのドラマは楽しみだ。
しかし、資本の論理で、大量のリストラ、切り捨てがおこるでしょう。
しかも、地産地消こそ産業に最適であるから、彼らは国外で生産し国外で利益をうる仕組みを加速するでしょう。
彼らからの納税額には失望させられるでしょう。
 
ともかく
私は常日頃、ベトナム人の大学生に言っています。「いまこそ日本に行ってはたらけ。日本はこれから産業構造がおおきく変わる。 日本企業は急速に後れを取り戻す。 日本人はきっと頑張る。おもしろいぞ。どのようなプロセスで変わっていくかその目で確かめてこい。君たちの将来に役立つ」と。
 
 
余談ですが、
いま、私はオンラインであるベトナムの女性に「証券外務員試験」授業を教えています。悪い旦那にすてられたシングルマザー。その元彼が子供を奪いに来るので、ダナンから田舎に逃避し、私にも住所を言わない(私は知っているが)。彼女はそこで日本の楽天証券現地支社に就職したのです。上司にお願いし、ベテラン上級社員に交じって勉強しています。
「この子(一人っ子)が将来日本で働くことが唯一の夢です。そのために頑張る」と。彼女は高卒なので日本に行きたくても出国できない。子だけでも行かせたい。
 
私は大変です。難解な専門用語・法律を一から勉強しなくてはならないからです。
私も受験してみせようと思っています。
 
そんなこともあり、私は株にはまったく無関心でしたが、すこし、興味をもって始めてみようかなと思っています。
これからの世界経済ドラマを見て楽しめるように。
 
最後に
Nさんが行きたい、世界一周旅行をいっしょに行くよと約束してン十年過ぎました。
船旅だったら、車いすでも行ける。
年をとっても、体力なくても、だれでも、好奇心と冒険心は死ぬまで衰えないのがわかった。
 
しかし、痛い、苦しいでは、なにもする気が起きないのがよく分かった。
停電になったテレビの画面のように途中で消 えてしまう。
 
みなさん健康でいましょう。