中国の企業統制 戸惑う投資 2021.8.7 記事

サブタイトル「日米の専門家に聞く」

・「新規案件は控える」米グッケンハイム・パートナーズ最高投資顧問スコット・マイナー氏

・「政策分析が重要に」三井住友Dsセットマネジメント香港最高投資責任者永井尚人氏

:「当局の姿勢が経済の動向を大きく左右するのであれば、政策の後ろ盾がある分野に投資すればいい」。だって。

「中国は投資すべき市場との見方は変わらない。ほかのアジア諸国と比べてイノベーション力は高い。中国人は勤勉だ。大きな市場と多種多様な産業があり、国内で取引先や顧客を見つけやすい。過当競争に陥るリスクがあるが新興企業が育ちやすい。」だって。

実際、両国は、不本意ながらも制裁競争で、国際水平型サプライチェーンを壊すかたちで、一国内完結型産業政策をとり始めている。

日本企業はフットワークよろしくさっさと米国内に製造拠点を移してその影響に巻き込まれないようにし始めた。中国マーケットにもおなじ対応をするだろう。

 

そういえば8・5の記事で経済安保の論点で

「冷戦長期化は有益」の視点を 多摩大ルール形成戦略研究所所長國分俊史氏

曰く

「トランプもバイデンも対中政策の骨子は「中国の不当な方法による成長を遅らせること」「中国の追い上げ速度を遅らせること」「冷戦の長期化の思想だ」。

米中冷戦の中身は「一般市民・企業を顧客として囲い込む競争だ」また「国内の治安崩壊による急激な国力低下などは米中冷戦を短期決戦に導きかねない」。うっかり戦争になるからこれは避けなければならない。

どうすればいいかというと、「市場占有率が過度に高く社会への影響力が大きすぎる企業の誕生を、安全保障上の危険因子とみなすのが常識」。

だから

「特定企業による市場占有速度を鈍化させるために、顧客の奪い合いのルールを断続的に変更し定期的に寡占状態を破壊していく必要がある。米国も中国も共通認識でそのように動いている。(米国は反トラスト法の見直し・中国は独占禁止法の厳格適用)

日本は企業はこの冷戦長期化が日本の大戦略だと認識し、業界リーダーは高度な取り組みの自主ルールを発表し、世界に広げていく戦略思考と行動力が必要だ。」だって。

 

と、いうことは、やはり米中は折り合いをつけながら共存する方向だから「あわせろ」ということだな。

 

とすると、今日の記事は符合する。

ニクソン・ショック50年の教訓」で

・・問題なのは、日本の野党党首や経済産業省OB、元防衛省の議員が台湾情勢をめぐり、台湾のことを「国」と述べたこと。とのこと。

これに対し、キャンベル米国安全保障会議インド太平洋調整官は「台湾の独立は支持しない」と一つの中国政策を踏襲した。

キッシンジャー国務長官は「米中のいかなる衝突も世界を分裂させる」。

つまり

日本は「最大の同盟国の米国」と「最大の貿易相手国中国」のはざまで自国有利にふるまうのが利口。明治時代の若手官僚だったらそうするだろう。

 

だとしたら

米中は本格的なドンパチを避ける。外交上の偶発小規模ドンパチは避けられないかもしれない。そのときは同盟国を鉄砲玉に使うだろうと私は思う。この根拠はオバマ政策で日本の防衛白書2008年の「かたがわり任務」に現れていると私は思う。

日米安保は日本を護らない、と、元自衛隊高官も言うくらい。「領土問題にかかわらない」のが米国外交の基本と宣言されているのだから。

 

いま、二つの「合法」がぶつかっている。

1つは、第二次大戦で守り切った欧米側の既存「合法」で、

もう一つは、これを崩す中国の「合法」。

アメリカは中国の「合法」外交に手を焼くと言っている。

中國は国際法のグレーのスキマを巧みにくぐり抜ける、「合法」。

だから米国の外交は「現状維持」を主張

中國は「変更」を主張。

まるで、中国の覇権主義は、日本が夢見た「大東亜共栄圏」の構想のようだ。

日本が大戦で勝利したら同じようにしただろう。

ただし、日本はアジアの国々の支持を欠いて、日本に宣戦布告した60数か国を相手に孤立して負ける戦いをしてしまった点が異なる。

世界の国々は、数でいえば中国支持がアメリカより多い。

先のASEAN会議でカンボジアが言った「では、アメリカがなにを我々にしてくれたと言うのか」と。

 

日本は生産性でも、平均賃金でも、国民購買力でも先進国の底辺で、韓国にも抜かれてはいるけれど、世界の顧客を引き付ける力がまだあるのだから、高度なルールの先導役で金メダル、銀メダルを取り続ける努力で、「日が昇る国」でいなければならない。

 

いい意味で、真の大東亜共栄圏の盟主になるのが似合っている。

日本は下手をこいてはならない。じっくりやろうと思う。