グレタさんはヨットで国連に行った

ヨットのナイトクルージングはファンタジックだ。

漆黒の闇と静けさの世界。海と空の識別もできない。

我々だけが人類最後の生き残りで宇宙空間にあてもなく漂っているようだ。

航跡に夜光虫が輝き、「やっぱり進んでいる」と安心する。

夜間の航海は怖い。

よく見張ってないと闇の中で大型船に遭遇することがある。

いきなり、暗闇の中から見上げるようなタンカーの巨大な鉄の壁が出現する。

小さな我々を小馬鹿にするように航路を変えないでのしかかってくる。

強引にスクリューでかき回した波は、取り残された我を木の葉のように翻弄する。

 

でも、たまに素晴らしい出会いもあった。

闇の中から美しい女神が出現する。

大きな帆船だ。

白く伸びやかな長い船体。高くそびえる4本マスト。

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何十枚もの帆にライトアップしてウェディングドレスのようにまぶしく。

「とおるわよ。きをつけてね」と言うように。

こちらも2枚のセールにせいいっぱい懐中電灯をあて「はい」と答える。

目の前をすべるように通過していく真っ白な船体にうっとりし声もでない。

世界最大級の帆船日本丸だ。世界帆船レースの花形だ。

とてもうれしい。彼女がいてくれて豊かな気持ちになる。

 

帆船

風だけで巨大な動力になる。

世界の果てまで行ける。

一滴の油も使わないで。

原子力潜水艦より永遠に走り続けられる。

子供に経験させるべきだ。

 

帆船のタンカーをご存じだろうか。

第一次イラン・イラク戦争で石油が値上がりしたとき

燃料節約で帆船のタンカーを造った。(人間って滑稽ね)

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コンピューターで帆を操作して(やればできるじゃん)。

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原油価格が下がったらやめちゃった。

「のど元過ぎれば・・・忘れる」だ。

 

この温暖化の地球の危機を感じないのか。

スウェーデンの16歳の女の子の怒りの訴えに

「小娘に経済というものを教えてやれ」とまだ言うのか。

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でも、世界の人々はだんだん気づき始めた。

彼女が毎週金曜日、学校をさぼって、たった一人で座り込みを始めて

わずか1年で400万人がデモして、共感を示した。

ロックフェラーや世界中の投資家や金融機関も3700兆円以上の支援を始めた。

サミットで各国政府に宣言した。

自然がだめになったら元も子もないからだ。

彼女はヨットで大西洋を横断し国連の環境問題サミットに行った。

 

自然を馬鹿にしてはいけない。

自然とともに生きるべきだ。

 

戦争中帆船日本丸はマストを切り倒され、石炭運送船の汚れ仕事をさせられ

補助動力だけで危険海域で働きづめに働いた。

その素朴なダイハツ製のエンジンは酷使され、その合計回転数はギネスブック

にも記録されている。

素晴らしい記録か、悲しい記録か。

その日本丸はマストを取り戻し横浜に係留されて観光に一役買っている。

私が大島沖で出会ったのは日本丸2世だ。

 

海の神様・山の神様

世界中のこどもにヨットを習わせるように 大人たちに命令してください。