森元総理の失言

 

首相就任前

言葉は悪いが、たんつぼだ
1988年4月3日京都市でのパーティーで「大阪人は金儲けばかりに走り、公共心も選挙への関心もなくした。言葉は悪いが、たんつぼだ」と発言した。
エイズが来たように思われて
2000年1月13日、「初めて選挙に出たときは泡沫候補だった。選挙運動で行くと農家の皆さんが家の中に入っちゃうんです。なんかエイズが来たように思われて…」と発言し、批判された。

首相時代

天皇を中心としている神の国
2000年5月15日神道政治連盟国会議員懇談会結成三十周年記念祝賀会で演説し、「日本の国、まさに天皇を中心としている神の国であるぞということを国民の皆さんにしっかりと承知をしていただく」と発言。NHKなどが大々的に報道した
沖縄万博
九州・沖縄サミットの開催前の6月19日の3党合同演説の場において「九州・沖縄サミット」のことを「沖縄万博」と連呼した。
国体発言
2000年6月2日に衆院が解散され、翌3日には遊説先の奈良市内での講演で「民主党共産党と組むのか、共産党天皇制を受け入れないし、自衛隊は解散、日米安保も確認しない。そういう政党とどうやって日本の国体を守るのか」
無党派は寝ていてくれればいい
2000年6月25日の投票日を前まだ決めていないという人が40%ぐらいいる。そのままといって、寝てしまってくれれば、それでいいんだが、
人道上の大きな『石』
解決策を北朝鮮との協議で提案していたことを公表した[206]
  • 回顧の内容は次のようなラジオ番組での発言も「ほとんど支離滅裂で、正常な神経の持ち主とは思えません」と切り捨てられる形で紹介されており、拉致問題での発言の信用に疑問が持たれてもいる[210]
イット革命
IT革命(アイティーかくめい)のことを就任当初の官僚との打ち合わせの場でイット革命と述べたり、開発途上国会議で「電気がなくともiモードは使える」といった発言を残す。なお、ニコニコ動画などで自身が機械音痴であることは度々認めている。首相在任当時は米クリントン政権の打ち出したNII(National Information Infrastructure:全米情報基盤)構想が成果を挙げ始めたり、或いは1990年代末のインターネットバブルによる一時的な景気過熱などがあり、一方で日本がIT産業、情報通信インフラ等で諸外国に遅れを取っていることは専門家の間でも日頃から憂慮されてきたことであった。情報機器の複雑性が中高年への普及を妨げてきたことへの指摘も常々なされることである(詳細は情報格差)。政治家としての森はこうした問題があることについては理解を示し、e-Japan戦略の策定を決めた。後年、ニコニコ動画森喜朗チャンネルにて、これらのことに触れている。

首相退任後

子どもを一人もつくらない女性
2003年6月26日、鹿児島市内で開かれた「全国私立幼稚園連合会の討論会」にて「子どもを沢山つくった女性が、将来国がご苦労様でしたといって、面倒を見るのが本来の福祉です。ところが子どもを一人もつくらない女性が、好き勝手、と言っちゃなんだけど、自由を謳歌して、楽しんで、年とって・・・税金で面倒見なさいというのは、本当におかしいですよ」と発言し、社民党の議員や出生率向上へ誘導する政策などに反対する一部女性団体の抗議を受けた[211][212]
北朝鮮問題について
2007年7月、北朝鮮の外務次官・金桂冠は同年6月に訪朝したアメリカのヒル国務次官補に対し、日朝関係について「参院選の結果をみて考えたい」と伝えた。発言は、北朝鮮問題で強硬路線を採っている安倍政権の第21回参院選における苦戦が予測されている状況を踏まえたものと受け取られた[213]。7月23日には朝鮮労働党機関紙『労働新聞』で日本の第21回参院選について「安倍一味(政権)は腐敗政治と決別し、自ら権力の座から退くのが良いだろう」「参院選での惨敗を意識した責任論も台頭している」と論評していることが報じられた。当時は6カ国協議に参加していたアメリカがテロ支援国の指定解除に舵を切り始め、日本と溝が生まれ始めていたという背景も指摘されている[214]
2日後の7月25日、選挙中、森は金沢市で行った街頭演説の中で「北朝鮮は安倍さんが潰れてくれる事を願っている。そんな北朝鮮の不埒なやり方に黙っていてはいけない。安倍さんを勝たせるしかない」と発言した。読売新聞によれば民主党筋からは森の発言に「北朝鮮拉致問題超党派で取り組んでいる課題」と反発する声も出たと言う[215]。更に7月27日、野党が過半数を獲得した場合の国会運営について森は「国民のためにやらなければならない政策(の法案)が全然成立しなくなる。結局、だんだん追い込まれていって、(衆院を)解散せざるを得なくなる」と述べた。読売新聞は衆院の早期解散の可能性を示したものと解釈して報道した[216]参院選自民党が敗退したが、北朝鮮サイドはこの結果を歓迎。「安倍政権は朝日関係改善に取り組む姿勢が見られなかった。過去を正しく清算する意思がないなら相手にする必要はない」とコメントし、森が演説で述べた、安倍政権に対する北朝鮮側の評価自体は事実であることが選挙後にも改めて立証された[217]
さらに、3年後、安倍政権で政策秘書官を務めた井上義行が、選挙前の2007年4月、北朝鮮拉致問題で協議したい意向を申し入れていたが、参院選後の再協議を予定したものの、自民党敗北により立ち消えになったことを明かし、「北朝鮮側は当時、安倍内閣の支持率を気にしていた印象があり、選挙で勝っていれば本格的な協議が始まった可能性もあった」と分析している[218]。なお、安倍政権の対北姿勢は参院選敗北後も変化無く[219]、2ヵ月後の退任まで継続し、後継政権はほぼ任期一杯になるまで衆院解散を選択しなかったため、国会運営はねじれ現象が顕著となっていった。
武士のたしなみがない
2007年8月17日、防衛事務次官人事をめぐる守屋武昌小池百合子防衛相の対立について、「辞めなければならないと(守屋氏が)自分で分かっていて、『武士の最後の華だ』と切腹しようとしたら、小池氏が後ろから刀で切りつけた感じだ」「(女性の)小池氏に言っていいのか分からないが、武士(もののふ)のたしなみがない」と述べ、小池の行動を批判した[220]。守屋については、沖縄の基地問題に生涯をささげてきた立派な人物と評価した[220]
首相が被災地でパフォーマンスする必要なんてない
2011年、東日本大震災に対する菅直人政権の対応への批判を述べながら、1995年の阪神・淡路大震災当時を振り返り、「思えば村山富市元首相は偉かったな。阪神大震災で初動が悪かったとずいぶんマスコミにたたかれたけど、そんなことなかった。決断力もあった。小里貞利さんをすぐに震災対策担当相に任命して現地で陣頭指揮を執らせ、自分は首相官邸でドンと構えてね。首相が被災地でパフォーマンスする必要なんてないんだよ。被災者のみなさんに迷惑をかけるだけじゃないか」と村山元首相を評価した。
英語は敵国語
2014年2月9日、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会会長として冬季五輪開催中のソチで会見し、執行部が高齢で語学力に乏しいことについて、「第2次大戦時、英語は敵国語だった」「昔はボール、ストライクも『よし』『駄目』と日本語を使わされて野球をやっていた。私の世代はよほど特別に勉強した方じゃないと外国語をよく理解しない」と説明した[221]
大事なときには必ず転ぶ
2014年2月20日ソチオリンピックのSPで浅田真央に転倒が相次いだことに関して、「見事にひっくり返った。あの子、大事なときには必ず転ぶ」と福岡市での講演で述べた。フィギュアスケート団体への出場に関しても「負けるとわかっていた」とし出場するべきではなかったとの主張を展開した[222][223]アイスダンスキャシー・リードクリス・リード組に関しても「(米国代表として)五輪出場の実力はなかったが、帰化させて日本選手団として出した」と述べた(リード兄弟は日米両方の国籍を有していたが日本国籍を選んでおり、帰化したわけではない)[224]
国歌を歌えないような選手は日本の代表ではない
2016年7月に自チャンネルでリオデジャネイロの壮行会で、日本人選手が国歌を斉唱しなかったことを「国歌を歌えないような選手は日本の代表ではない」と批判したが、実際には独唱であり誤解である[226]
東京五輪の予算について
2020年東京五輪パラリンピックの関連施策として国が直近5年間で8011億円を支出したと会計検査院が指摘したことに、大会組織委員会会長の森は2018年10月4日「この機会に将来の日本のためになる、国民のためになる、その恩恵を受けることができるということであれば(大会に関連がある行政経費を)ある程度認めていかなければいけないのではないでしょうか」と必要性を強調し、一方で「予算編成で、(五輪への)いわゆる便乗みたいなことは、厳に慎んでほしい」とも述べた[227]
李登輝への弔辞
2020年7月30日の李登輝の死去を受け、8月9日に弔問団の団長として訪台。蔡英文総統と会談して安倍首相の事実上の名代として訪台した旨を説明し、謝意を受けている。海外からの最初の李登輝への弔問団であり、遺影の前で「台湾はあなたが理想とした民主化を成し遂げ、台湾と日本は自由と民主主義、人権、普遍的な価値を共有する素晴らしい親善関係・友好関係を築き上げた」などとする弔辞を読み上げた[228][229]
オリンピック延期の世論調査について
1月初旬に行われた複数の世論調査で、オリンピック東京大会に対して、「中止もしくは再延期」で今年の開催に否定的な声が8割に達したことに言及し、「開催すべきが1月の調査で14%、12月から半減した。再延期は1月が44%で12月は32・2%だった。ただ、再延期というのは開催するべきだという声。58%が開催してほしいという意見だ」と、強調した。さらに、「今のコロナで、こういう騒ぎでやっている時に、『オリンピックどうですか?』と聞かれたら、何と答えますか?答えようがないでしょう。まして一般国民が、“明日、子供や孫の成人式が中止になった”“来月結婚式の予定をどうしようか”と、そういう時期に、なぜあえてこういう『五輪をやるべきか』『延期すべきか』『中止すべきか』という世論調査をするのか。世論の動向を見るのは大事なことだけど、これをこうして発表しなければならんのかなと。私には疑問がある」と、投げかけた[230]
女性の発言時間
2021年2月3日、日本オリンピック委員会JOC)の臨時評議員会で、「女性の理事を増やしていく場合は、発言時間をある程度、規制をしないとなかなか終わらないので困る」と発言した。さらに「女性理事を増やすJOCの方針に対する私見として述べた。これはテレビがあるからやりにくいんだが。女性理事を選ぶというのは、日本は文科省がうるさくいうんですよね。だけど、女性がたくさん入っている理事会は、理事会の会議は時間がかかります。これは、ラグビー協会、今までの倍時間がかかる。女性がなんと10人くらいいるのか?5人いるのか?女性っていうのは競争意識が強い。誰か1人が手をあげていうと、自分もいわなきゃいけないと思うんでしょうね。それでみんな発言されるんです。」と発言し、参加者の失笑を買った[231]
この発言に対して、TwitterなどのSNSで多くの批判の声が上がったほか[232]ニューヨーク・タイムズワシントン・ポストロイター通信AFP通信といった日本国外のメディアも批判的な論調で報じた[233][234]。その後、日本スポーツとジェンダー学会は2021年2月4日に緊急声明[注釈 20]を発表した[235]
2021年2月4日、毎日新聞の取材において、今回の発言について「一般論として、女性の数だけを増やすのは考えものだということが言いたかった。女性を蔑視する意図はまったくない」と釈明した[236]
なお、同日行われた記者会見において、「(今回の発言に対する批判について)どう受け止めるつもりか」という質問に対し、「謙虚に受け止めております。だから、撤回をさせていただきますといっているんです」と回答。しかし、自身の辞任は否定した。「女性の話が長いと思っているか」という質問に対しては、「最近、女性の話を聞かないから、あんまりわかりません」と回答。今回の発言を「誤解」と表現していることについて聞かれると、各競技団体から女性が多いと会議が長いという話をよく聞くことをあげ、「そういう風にきいておるんです」と回答した。なお、具体的な団体名については明言を避けた。記者の質問を遮り「そういう話はもう聞きたくない」「おもしろおかしくしたいから聞いているんだろ」と発言するなど、質問にいらだちを見せる場面もみられた[237]