やり方が似ている 原発ー福島 と コロナー東京 

除染せず避難解除、政府が方針初提示 土地活用策も説明

 

 自己紹介文・・ダナンで

初めまして、私は 73歳 ダナン在住4年目 自宅は東京です。

大学で日本語教師、現地コンサルタント企業で起業のサポートをしています。

私は損害保険会社で営業・市場開発・人材育成など多くの分野を担当してきました。

東日本大震災の直後、最後のお役立ちにと思い希望して福島県に転勤しました。

そこで原発事故による、ニュースでは伝えられていない大変な悲劇を目撃しました。

これからのんびり老後をと思っていましたが、一転、じっとしていられなくなりました。

日本が心の輝きを取り戻し、若いアジアの人々と未来をつくるお手伝いをしたいと思いました。

1年間勉強し日本語教師の資格を得ると、69歳で退職してすぐにダナンにまいりました。

 

 

影を無くした男の物語(福島から・・当時 寄稿)

                          

男は金貨がいくらでも出てくる袋と影を交換してしまった。相手は男の影をくるくると巻いて持ち去った。幸せもつかの間、人々は影がないことを怖がり男は恋にも破れる。人間は個性やアイデンテテイを捨てたら生きていけない。作家シャミッソーの有名な作品です。

福島に勇んで転勤してきたのは、あの大災害に見舞われたこの地で交通事故被害者救済の仕事ができるからです。福島は人々の気風が純情で、義理と人情に富み噂どおり。

今は復興景気に沸いて、なじみの居酒屋でも、他県からの除染作業員や避難者で満員。

親しくなった客Aさんは避難者で、痴呆の老母を介護しながら仮住まいしています。

彼の楽しみは安酒とパチンコだけ。彼は極度の欝で精神病院通いです。欝になった原因は、莫大な賠償金や保証金を得ているからです。残してきた空家の、家族の頭数分の保証金など、彼は「原発宝くじ」と言います。でも彼は行き場所もなく不安で一杯です。押し寄せる怪しげな投資勧誘、疎遠だった子どもからの経済援助要求、親しかった人々ともいさかい。もし老母が亡くなったら毎月の収入も減る。残してきた家も、「今ならただで壊してやる」と行政から言われている。Aさんは「このお金は税金からでているのでしょ?この国はいったい大丈夫ですかね」と私に聞きます。ところで、除染って想像つきますか?庭や畑や公園や河原やすべての土地の表層を剥ぐのです。無限に剥ぐのです。剥がれて見渡す限り異様に黄色い土地には、たたずむ無人の住宅やガソリンスタンドやコンビニはSF映画のシーンのようで不気味です。美しい山々、でも、山菜も筍も取ってはいけません。社宅の前を流れる清流にはたくさんの魚がいます。でもとってはいけません。今回、県内7万数千か所に積み上げた除染物資を中間貯蔵地に移送することになり県警は警備を心配しています。膨大なトラック輸送。事故。除染作業流入者による治安の悪化。今なお十二万人以上の難民がいるのです。故郷が変わっていく。わずか新幹線で一時間半の距離にはネオンに輝く東京。「影を無くした男」はAさんじゃなくて、この国ではないでしょうか。